第7立法府国会承認:フェリペ6世のスピーチを巡って
先ほど、第7回立法府をフェリペ6世がスピーチをして承認するというセレモニーが
行われましたが、共和国を主張するPodemos議員らの態度が議論を呼んでいます。
(以下写真El PaisよりFotos: Apertura de la XII Legislatura en el Congreso | España | EL PAÍS)
ラホイ首相とフェリペ6世一家
国会でのスピーチの様子
PODEMOSの無言の反対
王のスピーチの後、
Unidos PodemosPODEMOS(中央)は
座ったままで拍手もせず王のいない「共和国」派であることを無言で主張。
カタルーニャ州(Podemos議員の上)
バスク州の議員(Podemos議員の右)たちは立ってはいたものの拍手は送らなかった。
PODEMOSのディエゴ・カニャメロ(Diego Cañamero)のTシャツには
「私はどんな王にも投票していない」と書いてある。
カタルーニャ独立問題①:現在の政党と去年の選挙結果
「カタルーニャの独立問題ってよく聞くけど、どういう構造になっているんだろう」
という方は多いと思います。
そのため、今回はカタルーニャ自治州における政党と去年の選挙結果をまとめました。
図:各政党の主義思想図
上 Independismo:独立派 ⇔ 下 Unionismo:独立反対派
左 左派政党 ⇔ 右 右派政党
スペインニュース作成(2016年10月時点)
1.独立派・左右両派:Junts per sí(Yesのための団結)
Convergencia Democratica Cataluña(CDC、カタルーニャ民主団結、旧CiU)、
Esquerra Republicana de Cataluña(ERC、カタルーニャ共和左派)、
Demócratas de Cataluña(カタルーニャ民主)
Movimient d`Esquerres(左派運動)
などが前回2015年の選挙で独立派として勝利するために、組んで作った連合。
選挙で第一党に輝いたものの、
左右間の主義の違いにより分裂することがしばしばである。
2.独立派・極左派:Candidatura de Unidad Popular(CUP、人民統一)
EU懐疑派でもある。
3.連邦制派・中道左派:PSC : Partido de los Socialistas de Cataluña(PSC-PSOE)
社会民主主義とスペイン連邦制を掲げている。
PSOEのカタルーニャ版だが、この間のラホイ政権賛否に対しての棄権をPSOEが決定
したときは、PSC長のミケル・イセタはNOを突き付けるべきと主張し、(*)
また国政のPSC議員もNOを突き通したため、PSOEとの分裂が囁かれてもいる。
連邦制についてはPSCとPSOEの一部が分かち合えていない問題でもあり、
以前PSOE元党首ペドロ・サンチェスがEl Salvadoのインタビューにて
「スペインは連邦だ」「スペインは国家集合体だ」という認識をしたことは
議論を呼んだ。(**)
4.独立反対派・極右派:C`s(Ciudadanos)
5.独立反対派・中道右派:PP(Partido Popular)
上記2党は国政与党のCiudadanosとPPと一致している。
どちらもスペインは「一つの国家であり、カタルーニャは一つの地域」
という認識で一致している。
6.レファレンダム派(△)・左派:Catalunya sí que es Pot
PODEMOSを筆頭において、
主に環境問題を取り上げるCatalunya Verds(ICV、緑カタルーニャ)やEquo(エクオ)、
Esquerra Unida i Alternativa(EUiA、左派統一)
がJunts per síに対抗するために連合した。
△:「スペインは国家連合体」と考え、独立を問う国民投票をしてもよいと認識して
おり、C's と PP が認めようとしないレファレンダムを認めている。
2015年9月27日選挙結果
選挙結果:カタルーニャ州関連省より
選挙の結果、Junts per síとCUPの独立派が合わせて47.80%を獲得したことで
州議会の与党となり、
現在はCDC(カタルーニャ民主団結)の
Carles Puigdemont(カルラス・プッジモント)が州長を務めています。
当初は、「2017年の夏までに独立を」としていましたが、
まだ州民の50%を説得しなくてはならず、達成は難しいと見られています。
*・**過去の記事
エネルギー貧困問題:カタルーニャ州での死亡事件を受けて
El Paisより:エネルギー貧困反対連合のデモの様子(カタルーニャ州)
Un polémico principio de precaución | Cataluña | EL PAÍS
2015年7月29日、
カタルーニャ自治州政府ジェネラリタットは、エネルギー貧困状態への対策法を
(カタルーニャ語:http://consum.gencat.cat/doc/doc_26193407_1.pdf )
提案しました。
2016年11月16日の今日、
カタルーニャ州タラゴナのReusという街で81歳の女性がGas Natural会社に
電気を切られたことにより死亡したことを受け、
自治州長のプッジダモンドはGas Natural会社に対して批判をしました。
また今回の事件はお年寄りでしたが、
実際は働いているのにもかかわらず電気代まで余裕のない人の同様の問題に対しての
デモンストレーション、その他の運動が各地で行われています。
過去にもスペインニュース(*)では貧困問題について取り上げてきましたが、
やはり冬が近づくにつれて、このような死亡事件が続くだろうとされています。
「早い対策を」という声はいつでも溢れているものの、なかなか実現はされません。
El Paisによると
カタルーニャ州の去年提案された法案は二つのパートに分かれています。
- 強制退去反対の法:しかし憲法裁判所により中断・停止
- 電気代の払えない人への支援:現在も有効
そして、企業に対して人々が支払えなくならないような対策も求めています。
しかしながら、
- 一つ一つの電気打ち切りを調べていては業務に支障が出る
- 使用者から料金を取りづらくなり、企業利益が出ない
という理由から「現実に沿った」法案を要求しています。
このようなもどかしい状態はいつ終わりを迎えるのでしょうか。
*過去の記事:貧困問題