第二回マドリッドPODEMOS支局選挙結果:方針2極化
アメリカの大統領選が、他国同様、まだ新聞・TVを騒がせているスペインです。
しかしながら
金曜日、マドリッドでは大事なPODEMOSのリーダー選挙が行われました。
この選挙は10月27日と11月5~9日の二つに分かれており、
一回目は今後の政治機関や政治に関しての各案を
今回の二回目はマドリッド支局のリーダーを、政党支持者が選挙で選びます。
選ばれた人は所属政党内の地域の代表となり、地域の支持者の意見により近い立場
として、国政へと参加していきます。
政党Podemos
紫がトレード色のポデモス
ハフィントンポストより:Así son el logo y el lema de Unidos Podemos para la campaña electoral
まずは、簡単なPODEMOSの紹介です。
正式名称はUnidos Podemosで、日本語の直訳は「私たちは出来る団体」となります。
今年6月の選挙で票を獲得するために、
2014年に創設されたPodemosがUnidad Popular(直訳:人民団結)などの
左派政党を吸収した形が現在のPODEMOSとなっています。
まだまだ若いゆえに、ツイッターやYoutubeを使うことで、政治に関心のない若者を
支持層に取り込み、勢いがある政党となっています。
PSOEが中道左派なのに比べて、「共産主義寄りの左派」と一般に言われているものの
現在は、主な2人のリーダーたちがこれからの党の方針で
少々意見別れをしている状態が続いており、
今回の選挙もどちら側が勝つかという所に注目が集まっていました。
党内を2つに分けている方針
左がエレホン、右がイグレシアス EL Confidencialの記事より:Elecciones Andalucía 2015: La Universidad de Málaga pide inhabilitar a Íñigo Errejón por no cumplir su contrato. Noticias de España
1.党首パブロ・イグレシアス(Pablo Igresias)の方針
PSOEの左派としての権力低下や選挙結果に伴い、
PODEMOSが国政に関われる範囲が広がり、十分知名度を上げたことで、
今までの「下級階層のため」の政党というイメージから、
PODEMOSは「ラディカル左派」であるというイメージで政治を推し進めたい。
PSOEとは政権取得のために協力すべきではないと考えている。
2.イニェゴ・エレホン(Iñego Errejón)の方針
主義を右や左で分けるのではなく、
現在の「貧困の人たちのため」の政党という方針を貫くべきとしている。
またPSOEとは協力して政権を取るべきという方針もイグレシアスとは違う所である。
このような考え方に対して、La SextaのEl Objetivoという番組でこの間
イグレシアスは「エレホンはTibio、生ぬるいよ」と評していた。
今回のマドリッドの選挙
結果:
Ramón Espinar (13.686 票, 50,82%)
Rita Maestre (11.783 票, 43,75%).
1.ラモン・エスピナール(Ramón Espinar)
勝者は、イグレシアス側のラモン・エスピナールに決まった。
ただ道のりは険しく、
一回目の選挙ではリタ・マエストレに敗れたり、
選挙一週間前には "Sin casa, sin curro, sin pensión, sin miedo"
(家無し、仕事無し、怖いものなし)というデモ行進をしている間に
昔住んでいたPiso、アパートを売り、35.000ユーロの利益を設け、
その分の税金を納めていなかった、というスキャンダルが出たりなど、
勝敗の行方は怪しいとされていた後の勝利だった。
ただEl Periodicoは
マドリッド支局の議員80%がパブリスタ(パブロ・イグレシアス側)である
という事実などを考慮すると勝利にも納得いくとしていた。
勝利宣言では、対戦相手のマエストレに「一緒に」政治をしようと呼びかけた。
El diario記事:Ramón Espinar, nuevo secretario general de Podemos en Madrid
2.リタ・マエストㇾ(Rita Maestre)
第一回選挙では提案した政治方針案が勝利したものの、2000票の差で敗者となった
のは、エレホ二スタ(エレホン側)のリタ・マエストレ。
其の後のEL Confidencialのインタビューでは既に「2019年の選挙を見据えている」
としている。
Wikipediaより:Rita Maestre - Wikipedia, la enciclopedia libre
今後...
今後のその他6つの都市でも同様の選挙が待ち構えており、
その結果から2017年以降のPODEMOS全体の方針が決まる事となる。
これからもパブリスタとエレホニスタの議論は続きそうである。
新政権決定におけるドラマ:女の闘い
PPのラホイ内閣が決定して、早一週間。
この内閣は、「ラホイ支持を集めた、ラホイのための内閣」と言われていますが、
大臣らが選ばれた背後にはドラマがあった様なので紹介します。
(詳しい人物紹介は以前投稿した新政権の顔ぶれ特集①②をご覧ください。下に貼付。)
女の闘い、コスペダル VS ソラヤ(写真順)
写真 16年11月6日La VanguardiaのRajoy busca el equilibrio en la guerra entre Santamaría y Cospedalより
2008年より、PP内で権力闘争を続けているこの二人の女性。
今回の新政権の人事は、後継を狙う二人の力を均等にしよう
というラホイの意思が働いた結果だと言われています。
4日金曜に
ソラヤは政府公館(BOE)を通して、コスペダルは彼女自身で声明を出しました。
それは間接的に
CNI(スペインの諜報機関;アメリカのFBIを想像してください)の長はどちらになるのか
という問いに答えたものでした。
諜報機関の長という事は、国内の情報を全て司どり、管理できる立場であるという
ことのため、非常に権力が大きいポストの一つになります。
結果、
ソラヤが副首相・カタルーニャ州などの地域問題を対応する地域行政大臣と兼任する
ことに決まりました。
コスペダルは防衛相のみですが、一国の軍事を把握する権利はとても大きいため、
ソラヤとの権力バランスがとられたと大抵の専門家は見ています。
写真:El diario、コスペダルが内閣府の前で待機する軍人らの前を通る様子。
Cospedal mantiene el control del PP desde un sillón del Consejo de Ministros
*新政権の顔ぶれ特集
党綱領破ったPSOE議員らのその後
さてPSOEの党綱領に逆らい、PPラホイ政権にNOを突き付けた人たちのその後です。
(過去のPSOE分裂騒動に関する記事は下に貼付)
NOを突き付けて、
写真の15人の議員は、
党綱領を破ったとして、通常200から600ユーロの間で決められる罰金の
最高額600ユーロを揃って支払うことになりました。
支払うことになったのは、
7名がPSC(カタルーニャ社会党)の
Meritxell Batet, Manuel Cruz, Mercè Pérez, José Zaragoza,
Joan Ruiz, Marc Lamuà, Lidia Guinart
マドリッドを拠点としている無所属の
Margarita Robles と Zaida Cantera
そしてPSOEの議員6名
Susana Sumelzo (サラゴサ)
Sofía Hernanz と Pere Joan Pons (バレアレス諸島)
Odón Elorza (ギプスコア)
Mari Luz Martínez Seijo (パレンシア)
Rocío de Frutos(オレンセ)
となります。
罰金以外に、
誰かが「追放」されるという罰が課されることは今のところ無い模様
ですが、無所属2名の追放があるかもしれないと言われています。
また、今まで連携を図ってきたPSOEとPSCの間に亀裂が入り、
PSCがPSOEを脱退するのではないか
という見方もされています。
*PSOE分裂関係の記事